葛布織ワークショップwith薬膳 in熊野蘇和家

株式会社人といのちの自然学校代表 錦織法子

人の健康は、医学(療)以前のもっと上流で語られるべきであり、それには衣食住を整えることが大原則であると考えます。
ようやく食の安全が見直されつつある現代でも、「衣」の安全はまだまだ立ち遅れています。
本来の衣服の役割は皮膚を保護するもので、薬効のある植物で染めて薬としても用いていたものです。
薬を飲むことを服用と言いますが、語源は薬効成分を染み込ませた「服」を薬として「用」いたから「服用」というのだそうです。
皮膚という吸収器官をどのような布で覆うのかは、私たちの健康にとってとても重要なものになります。

大量生産された服をファストフードならぬファストファッション感覚で購入と廃棄を繰り返す現代、気軽に購入できる衣料品は、また気軽に廃棄され、日本の衣料廃棄物は年間50万トンを超えるともいわれています。
ところで経済産業省の2015年の報告では、国内の繊維産業は、事業所数・製造品出荷額とも約1/5に縮小、輸入は97%を超えています。日本の服の自給率は2%、騒がれている食料自給率より桁違いに深刻な状況です。
日本にその技術や資源がないのであれば輸入も致し方ありませんが、戦前までは産業として成り立ち、高い品質と技術があった日本のこの現状は残念でなりません。

質の良い日本製の服を手に入れることが難しくなってしまったということは、これまで日本にあった繊維業に関する農や工場は、縮小や廃業に追い込まれ、技術や文化の継承は大きな危機を迎えているということになります。

そもそもである「衣服」の役割と機能を考えた時、製造過程をトレースすることもできない衣服を身につけるこの状況は、環境面においても文化の継承においても、さらに人の健康作りにおいても、豊かさとは逆行した動きであると危機感を覚えます。

安全な衣服を身につけたい、未来を担う子供たちに日本の染織の文化とともに安全を継承したい…そんな思いで模索のさなか、葛布織のワークショップに参加し「大井川葛布」の村井龍彦さんとご縁をいただきました。
「食や住まいの安全性を意識するように、葛布を通して衣類の安全性も伝えたい」と語る村井さんの葛布作りは、梅雨明けの葛の採取から始まります。
  よい糸が採れそうな葛の蔓を見極めて刈り取り、煮て、発酵させる。
  これを清流で洗い、繊維を取り出し、天日に晒す。
  乾いたら繊維を績(う)んで葛糸にする。
  葛布には、撚りをかけない葛糸をヨコ糸に使うため、平たい葛糸に光が反射し美しい光沢が生まれる。
  織り上がった葛布は天然染料で染める。

大変な手間と時間がかかりますが、この過程が豊かな時間であり、自然素材と豊かな営みから生まれる織物が葛布です。

衣の安全、人の健康、環境など、多くの社会問題の解決策にもつながるその活動に感銘を受け、とてつもないエネルギーを持つ葛のいのちと、織り手である私たちのいのちも共に織りこむ葛布織のことを一人でも多くの方に知っていただきたいと思いました。


未来を生きる子供たちに衣の安全と、手仕事に癒され心身が整っていく体験を伝えたい!

これらにご賛同いただけましたらぜひ仲間になってください!
皆様のご参加を心からお待ちしています。

~概要~

日時:2024年7月25日~28日

場所:人といのちの自然学校 熊野蘇和家(三重県熊野市神川町長原63番地)

講師:大井川葛布 村井龍彦氏

薬膳ミニ講座:国際薬膳師 内藤麻衣子氏

参加費:72000円 宿泊・食事代別途

*熊野蘇和家に宿泊ご希望の方… 3泊10食(薬膳料理)34000円

定員10名

村井龍彦氏プロフィール

日本三大原始布の一つである葛布の織元「大井川葛布」の親方。
 遠州静岡に流れる大井川のほとり・金谷の葛布屋に生まれ、先代から受け継いだ技と伝統を大切に守り続ける。
 「古代織産地連絡会」の事務局長でもあり、北は北海道のアットゥシ、新潟・山形のシナ布、南は沖縄の芭蕉布や宮古上布まで、日本の自然布の産地をまとめ、産地見学ツアーや展示会染織展示会情報サイトの運営などを通して広く情報を発信している。
 江戸時代の葛布の復元や葛布の研究者としても知られる。
 毎年夏に葛のワークショップを行うほか、染織教室も主宰。
 葛布や自然布、染め織りの世界のすばらしさを伝えるために、全国を飛びまわっている。

内藤麻衣子氏 プロフィール

中国古代哲学の陰陽五⾏説を基本とした「中医学」を学び、国際薬膳師免許を取得。
⼈の⾝体を部分ではなく全体の機能としてとらえ、気候変化など⾃然界の影響も考慮しながら、それぞれのタイプを明らかにしてバランスをとることで⾝体の改善をはかることの⼤切さを、薬膳教室を通じ伝え続けている。

~⿇⾐⼦さんからのメッセージ~
「薬膳」は、中医学の理論に基づき、⻑い歴史をかけて判明した⾷材の効能を知った上でひとりひとりの体質や症状にあわせた⾷べ物を考えます。
これらの基礎理論を知ることで、⾃分⾃⾝や⾝近な家族、⼤切な⼈の体調、体質を知り、季節の変化も考慮しながら必要な⾷材を選び⼼⾝を整えることができます。
「知ることで選べる」、⾝近な⾷材がその⼈の薬となり、毎⽇の⾷事が「薬膳」となります。

~日程・持ち物等のご案内~

1日目………

午前10時~

葛の刈り取り

室作り

葛を茹でる

葛布の話

室入れ

*終わり次第、「湯の口温泉(源泉かけ流し)」に

 ご案内いたします。

2日目…………

午前9時~17時

自然布と葛布についての講座

葛の繊維でツグリ作り

19時~

懇親会~薬膳料理

3日目………

葛糸で織作業(コースター等)

 *織機には事前に縦糸を張ってあります

砧打ち

4日目………

室出し

葛洗い

反省会

15時終了

 持ち物

*葛刈り取り

 軍手、剪定鋏

 長袖、長ズボン、帽子、長靴 *注:黒っぽい服装は避けてください

 日焼け止め、虫よけスプレー。虫刺され痒み止めなど、必要に応じてご用意ください。

 水分補給の容器(ペットボトル・水筒など)*お水・お茶はご用意できます

*葛洗い(川に入ります)

 短パン、もしくは水着、ゴム草履、帽子

*葛織

 握りはさみ、老眼鏡 など

*その他

 保険証、持病の薬など。アレルギーなどある方はお知らせください。

*宿泊の方へ

 パジャマ、洗面用具(せっけん、シャンプー、ドライヤーなどは用意があります)